2013年6月 2日

2013年5月の読書記録

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:490ページ
ナイス数:8ナイス

Gene Mapper -full build-Gene Mapper -full build-感想
オリジナル版を既に読んでいたから展開はわかっていたのに、ものすごく面白かった。リスクも希望も全てを包括して未来を描くことこそがまさにSF。スリリングな読書体験だった。藤井さんの次回作がほんとうに楽しみ。そして、黒川さんはKubrickでグッズ化してほしい。
読了日:5月15日 著者:藤井 太洋
伊藤潤二の猫日記 よん&むー (ワイドKC)伊藤潤二の猫日記 よん&むー (ワイドKC)感想
なごんだ。超なごんだ。だけど、巻末の広告でがーんとなってしまった。。。うう。
読了日:5月15日 著者:伊藤 潤二
金田一耕助VS明智小五郎 (角川文庫)金田一耕助VS明智小五郎 (角川文庫)感想
就寝前に一遍づつと、贅沢な時間を堪能した。乱歩は戦前ばかりを贔屓にしていたことが仇となったため、明智先生のかっこ良さにキュンキュン。二十面相モノも読まなくてはなぁと反省した。年代ごとに抱えていた金田一耕助の悩みが軸となってエピソードが描かれるあたり、短篇ながら深い描写。
読了日:5月23日 著者:芦辺 拓

読書メーター

2013年5月 1日

2013年4月の読書記録

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1099ページ
ナイス数:34ナイス

暗黒公使暗黒公使感想
30年ぶりくらいに再読。久作さんに言いたい。一人称で頑張るのはいいが、手紙による告白、立ち聞き、新聞の号外というのはお約束過ぎないか、と。真相を明るみにする手法については、もっと練ってもいいんじゃないか。と言いつつ、そんな大きなマイナスポイントを補って余りあるのがクライマックスだ。鬼気迫る対決シーンは『押絵の奇蹟』『ドグラ・マグラ』にも匹敵する出来栄え。この山場を味わうためだけに読んでも損はない。手練の毒婦と清廉潔白な処女が同居する、ラストを彩る謎の美人の描写が、とにかく素晴らしい。
読了日:4月6日 著者:夢野 久作


ヴェネツィアの恋人ヴェネツィアの恋人感想
まずなにより文章が美しい。ここまで安心して読める日本語を書く作家さんって、実は稀有なんじゃないかな。そして日本人離れした奇想。テイストもモチーフも全く異なるが、ジーン・ウルフ『デス博士』と並べたくなる圧倒的な世界観。どっぷり酔いしれました。外文好きは「買い」かと。
読了日:4月14日 著者:高野 史緒


ご遺体 (光文社古典新訳文庫)ご遺体 (光文社古典新訳文庫)感想
ブラックユーモア中篇、といったところか。現代社会の病んだ部分を描いているにもかかわらず、時代を感じない描写は見事。全篇を貫く登場人物の自分勝手っぷり、思いやりの無さっぷりは気持ちいいほどではあるけれど、短篇くらいにまとめてほしい気もする。1アイデアで終わってしまったなぁ。
読了日:4月15日 著者:イーヴリン ウォー


火葬人 (東欧の想像力)火葬人 (東欧の想像力)感想
始まりからコップフルキングルの言動が慈愛に満ちながら不気味だ。コップフルキングルは、幸福な家庭人を演じてはいるが、エモーショナルな部分が大きく欠如しているせいで「いとしいおまえ」と、いくら愛情を込めて妻を呼びかけても、その声が不気味に映るのだ。あの時代、ナチの思想に染まった人々は、親愛なる隣人たちをどうやって迫害していったのか。このテーマを、奇妙に感じる描写をおりまぜながら、静かに淡々と描ききっている。正当化する理由さえ与えれば、人はいくらでも異常に染まっていくし、異常であることの判断もできなくなる。
読了日:4月21日 著者:ラジスラフ・フクス


無罪 INNOCENT無罪 INNOCENT感想
翻ミスのサイトでサビッチのダメ男っぷりがなぜこうもクローズアップされるのかが実によくわかった。罪を犯して罰を受けるというシンプルなものでは全く無くて、結局はいかに社会的制裁を受けるかということなんだろう。息子が父の愛人を当てられないのは、最初は鈍感だからだろうかと思ったけど、おそらくは当ててはいけないと決めたからだろう。などなど。それにしても、ラストの真相には気が付かなかったなぁ。他のことに気を取られすぎた。
読了日:4月25日 著者:スコット・トゥロー

読書メーター

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2013年4月 1日

2013年3月の読書記録

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2625ページ
ナイス数:17ナイス

あの川のほとりで〈上〉あの川のほとりで〈上〉感想
だからセミコロンは使うなと、あれだけアイオワ・ライターズ・ワークショップで教わったのに。ケッチャムが最高にいいキャラだ。下巻へ!
読了日:3月7日 著者:ジョン アーヴィング


あの川のほとりで〈下〉あの川のほとりで〈下〉感想
コックと作家ほどでなくとも、失策のない人生なんてきっと無い。その傷を抱えてなんとかやり過ごすのが人生なんじゃないかな。彼らの逃亡生活は読んでいるこちらまでうんざりするような気持ちになるし、喪失と老いも否応なく追いかけてきて、どうして人生はこうもやりきれない出来事の連続なのだろう。理解し難い人がこの世には少なからずいるのも確かだ。それでも嫌な気持ちにはあまりならずに読めたのは、例えばコックが毎朝煎れるエスプレッソのようなディティールに愛着を持てたから。瞬間を愛する作品でもあった。
読了日:3月10日 著者:ジョン アーヴィング


罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)感想
倒叙ミステリを読むような面白さがある。もともと悪に染まっていない凡庸な人間が罪を犯してしまう際の追い詰められようときたら。じわじわくるなぁ。2巻では熱が下がっているとよいね。
読了日:3月15日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー


罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫)罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫)感想
さて、これがどう収束していくか。ポルフィーリーがコロンボの原型だと知人から教わり、なるほどと思った。となれば、追求が更に激しさを増していくことは明白で、3巻が楽しみ。それにしても、貧困はつらいね。
読了日:3月26日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー


罪と罰〈3〉 (光文社古典新訳文庫)罪と罰〈3〉 (光文社古典新訳文庫)感想
スヴィドリガイロフが意外な存在感を示してドラマチックであった。ラスコーリニコフと対照的な陽気さをまとい、胡散臭さとポジティブさが共存する怪人。そして辿り着いたラストの陰惨さと、「アメリカに行く」と壮絶でありながらあっけらかんとした最期。対し、ルージンの醜態っぷりは昼の連ドラのようで、ドストエフスキーは大衆を描く作家なんだなぁとも思った。エピローグでは、罪は法で裁かれても、悔い改めるきっかけは全く別の力が与えるという皮肉が。それにしても、登場人物が皆よく喋る。まるで舞台のよう。
読了日:3月30日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー


深い疵 (刑事オリヴァー&ピア・シリーズ)深い疵 (刑事オリヴァー&ピア・シリーズ)感想
実に面白かった! 毎晩、この本を読むのがほんとうに楽しみで楽しみで。事件の複雑さ、人間関係を追って行くだけでも面白すぎるのに、事件を追う刑事たちの内面にまで踏み込んだ描写にもどきどきした。フランクの不機嫌さ、ニコラの図々しさ。ピアがヘニングと和解するくだりもよかった。こういう描写が、オリヴァーとユッタとの出来事をストーリーにうまく溶けこませていったようにも思う。ラストは思いがけなかったなぁ。ということで、第4作も訳了とのこと、楽しみです。再読したい面白さでした。
読了日:3月31日 著者:ネレ ノイハウス

読書メーター

2013年3月 2日

2013年2月の読書記録

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2424ページ
ナイス数:18ナイス

UNDER GROUND MARKETUNDER GROUND MARKET感想
現代から数年未来の話。テクノロジーは現代と地続きだが、大きく変化している「地下経済」の描写は、ちょっとぞっとするほどリアリティがある。3人の若者(とくに恵)のハツラツさに清涼感を感じて、救われるような気持ち。「老害」とならないようにしなくてはね、私達バブル世代は。
読了日:2月1日 著者:藤井 太洋


Kurt Vonnegut: LettersKurt Vonnegut: Letters感想
ヴォネガットが逝去してもう6年になるけれど、40年台から順番に遡ることで、一人の偉大な作家の足跡をたどっていったような印象を受けた。ぷつりと途絶えたように見える手紙は、死そのものを表しているようだった。そして続くヴォネガットの写真の数々を繰るうちに、この本を編んだウェイクフィールドのヴォネガット愛が伝わってくるような気がした。素晴らしい本です。
40年台から没年までのカートからの手紙を年代ごとに収録。例外は、2通目に収録した叔父アレックスの手紙。帰国したカートをアリスとともに迎えに行ったアレックスによる、甥の描写が生々しい。50年代は金策の時代。就職、転職を繰り返し、短篇を書きながら家族を支えた。60年台も金策に追われるが、65年にアイオワ大学から講師として呼ばれることが転機となる。もう一つの転機は『スローターハウス5』のヒットにより、作家として認められるようになったこと。しかしながら、結婚生活は破綻して、『さよならハッピー・バースデー』の上演直後にニューヨークに単身移転してしまう。70年台は、セパレートした家族(特に末娘ナニー)との手紙が多く、父親としての苦しい胸の内が明らかになる。が、70年代後半は精神的にも安定した充実の時期となる。80年代は制作意欲が旺盛で、後期ヴォネガットの長篇が一気に生まれる。90年台はジル・クレメンツとの不和が明確となり、ニューヨークとサガポナックを行ったり来たりしている。そしてとうとう2000年代、火事を起こして一命を取り留める波乱の幕開けのあと、比較的穏やかな時を過ごしていたようだけれど、ぷつりと手紙は終わってしまう。転倒事故だったから。 40年台から2000年代の間に、ヴォネガットの身に起きた変化のみならず、時代そのものも変化していく。「自分はコンピューターを持たないから見ることは出来ないけど」と断りながら、Vonnegut.comのURLを教える手紙の内容には感銘を受ける。「Player Pianoは失敗だった」と、未来の予見がいかに難しいかを記したことも。 交友関係で印象的だったのは、99年にシオドア・スタージョンの娘が、『孤独の円盤』の序文をカートに依頼する手紙で、彼女の父親とトラウトとの関係を尋ねたもの。カートは「まさにそうだよ」と認めた上で、テッドと呼び、思い出を綴った手紙は一ファンとして嬉しかった。
読了日:2月5日 著者:Kurt Vonnegut


〈ブラック・ローズ〉の帰還〈ブラック・ローズ〉の帰還感想
冒険活劇な展開が楽しい。最初はフーダニットものかしらんとか思ったけど、中盤からそんなのどうでもよくなってあとは手に汗握る展開に。太陽神ラーみたいなフリークスの凶暴っぷりに萌えた。
読了日:2月7日 著者:伊東麻紀


孤島の鬼孤島の鬼感想
ポー『モルグ街』の密室殺人を下敷にしつつも、異形趣味炸裂であった。グロ表現がない分、とても読みやすい。とっちらかり気味というか、あらゆる乱歩的なモチーフがぎゅう詰めになってる印象なのは、雑誌連載という趣旨故か。竹中英太郎によるカットと扉絵がより一層大正的なムードをもりあげる。偉大なるB級小説。
読了日:2月8日 著者:江戸川 乱歩


ヒトデの星ヒトデの星感想
生命の始まりと終わりをヒトデナシに投影したような、そんな印象。ささやかな暮らしの愛おしさがここにも溢れていて泣ける。ちらりちらりとムーンライダーズの歌詞をモチーフにした描写が(ほんとにかすかだけど)、あちこちに散りばめられていることも見逃せなかった駄目な僕。
読了日:2月11日 著者:北野 勇作


時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)感想
読み終わったし面白かったんだけど、薔薇戦争の背景と人物相関図が理解できてないので、ちんぷんかんぷんすぎる。速攻で二巡目。
読了日:2月16日 著者:ジョセフィン ・テイ,小泉 喜美子


時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)
2巡目終了。じっくり理解しながら読むことが出来て、楽しさも倍増。トニイパンディていっぱいあるよねと思った(吉良上野介とかいい例じゃないか)。謎解きの妙を味わい傍ら、マータとキャラダイン、〈ちびすけ〉と〈アマゾン〉との掛け合いもとても楽しめた。そして何より、これが60年前に書かれた小説とは思えないほど瑞々しかった。
読了日:2月22日 著者:ジョセフィン ・テイ,小泉 喜美子


真説 金田一耕助 (角川文庫)真説 金田一耕助 (角川文庫)感想
角川春樹をハリキリ社長と呼んで、絶大な信頼を置く。映画の成功にそわそわワクワクする。若いファンに支持されていることを心から喜ぶ。そんな横溝正史の素直な感性が瑞々しい。『病院坂の首縊りの家』で、還暦を迎えた金田一耕助をアメリカに追放して「最後の事件」とした。このことを作家本人が一番寂しがっているのがいい。ここまで愛情を持って描かれた作品群だからこそ、横溝正史は今なお愛され続けているんじゃないかなと、改めて思った。
読了日:2月23日 著者:横溝 正史


金田一耕助のモノローグ (角川文庫)金田一耕助のモノローグ (角川文庫)感想
横溝正史が岡山に疎開した3年6ヶ月を綴った思い出の記。「作家はつねに超然として、周囲から孤立しているのがいちばん好いのではないか」という一文が心に沁みる。村民との交流を大切にしつつ、東京の文壇にも思いを馳せる。人との交流と孤立のバランスが実に良く、精神的に健やかな作家像が浮き彫りとなる。装画は『本陣』を軸にしているあたり、流石の杉本一文である。が、タイトルがミスリードしているのはどうしたものか。『楽しかりし桜の日々』とつけるところであろう。NHKあたりが昼の連続TV小説にしたらいいと思う。
読了日:2月24日 著者:横溝 正史


青い脂青い脂感想
好きか嫌いかといえば、かなり嫌い。しかし、凄いかどうかといえば、相当凄いと思う。『家畜人ヤプー』以来の厭凄い本だった。リプス・老外!
読了日:2月26日 著者:ウラジーミル・ソローキン

読書メーター

2013年2月 1日

2013年1月の読書記録

2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:429ページ
ナイス数:16ナイス

心に訊く音楽、心に効く音楽 私的名曲ガイドブック心に訊く音楽、心に効く音楽 私的名曲ガイドブック感想
トッド·ラングレンへの言及が無かったのが残念。その一方、細野・坂本両氏に対する言及の多さから、いかに大切な存在かが伝わってくる。影響を受けたレコードのジャケットがふんだんに掲載されていたのもよかった。
読了日:1月7日 著者:高橋 幸宏
Gene Mapper (ジーン・マッパー)Gene Mapper (ジーン・マッパー)感想
一気に読み終えた。ギブスンを思わせる未来設定やガジェット描写にニヤリとするが、「テクノロジーの発展による犠牲と恩恵」という思いがけず人間臭い描写がこの物語の軸にある。ラストの盛り上がりもスカッと楽しい。
読了日:1月13日 著者:Fujii Taiyo
フォクシー・レディフォクシー・レディ感想
表題作はラブアフェアSF。世界観が他の作品と共通しているからか、設定に安定感を感じる。幼少期に刷り込まれたステレオタイプな「幸せな女の一生」から逃げたはずが、結局そこに絡め取られていくクライマックス、男性作家には書けないだろうなぁ。長くなってもいいので、場面展開をしつこく描写してもいいかもと思った。一転、同時収録の「フェアリー・テール」は、がらっと冷ややかなタッチ、かなり好み。どちらも「エゴと抑圧」がモチーフと言えるかも。
読了日:1月23日 著者:伊東麻紀
時間はだれも待ってくれない時間はだれも待ってくれない感想
ここに紹介されているすべての作家の単行本が出ることを祈りたくなった。(『もうひとつの街』全訳決定・刊行おめでとうございます。訳者もおなじ! http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309206141/ )テイスト、タッチ、展開、どれをとっても英米文学とは一線を画す。実に素晴らしい。もっと知りたい、読みたい。「私と犬」「ブリャハ」「列車」「時間はだれも待ってくれない」が特に気に入った。
読了日:1月27日 著者:

読書メーター

2013年1月 1日

2012年の読書記録

実は昨年は読んだ本の記録をほぼ忘れていたため、12月に入ってから必死になって読書メーターにつけました。これはよくありません。ダメです。今年はちゃんと付けていこうと思います。抜けがあるような気もしますが、多分こんなかんじです。去年は『現代作家ガイド6 カート・ヴォネガット』の執筆に8月いっぱい忙殺されていたので、資料の読み込みがメインで読書ができなかったのです。今年は読むぞー!

2012年の読書メーター
読んだ本の数:28冊
読んだページ数:11101ページ
ナイス:74ナイス
感想・レビュー:26件
月間平均冊数:2.3冊
月間平均ページ:925ページ

パラダイス・モーテル (創元ライブラリ)パラダイス・モーテル (創元ライブラリ)感想
騙りの物語。最後まで見抜けなかった。見抜けなくてもいいとおもった。その過程がどこまでも残酷で、美しくて、グロテスクだったから。
読了日:2月20日 著者:エリック・マコーマック
密室の如き籠るもの (講談社ノベルス)密室の如き籠るもの (講談社ノベルス)
読了日:2月20日 著者:三津田 信三
絵のある自伝絵のある自伝感想
挿絵がオールカラーという豪華な一冊。子供時代はどんどん後ろへ追いやられ、過去は遠い思い出となる。その瞬間は言葉とスケッチで描きとめられて、一冊の本となって結実している。いたずらごころも満載。ずっとお元気でいてください。
読了日:3月20日 著者:安野 光雅
幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ)幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ)感想
いつもの刀城言耶ものとは趣向が違って、すごく挑戦的な試みをしていると思った。時代を経て移り変わっていく遊女の描写は凄みを感じた。あとからじわじわくるような物語。
読了日:7月31日 著者:三津田 信三
かめくん (河出文庫)かめくん (河出文庫)感想
二度目のかめくん。やっぱり切ない気持ちになる。大好きな本。おかえり、かめくん。
読了日:8月20日 著者:北野 勇作
都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)感想
今年一番の収穫。ハードボイルドなテイストがたまらない。都市のありようの不思議さに、どっぷり浸りたくなる。登場人物が皆魅力的。無骨で、クールで、ホットで。再読したくなる。
読了日:8月30日 著者:チャイナ・ミエヴィル
物語のルミナリエ: 異形コレクション (光文社文庫)物語のルミナリエ: 異形コレクション (光文社文庫)感想
読み応えのあるショートショート集だった。密度がすごい。特に被災した作家さんの作品は、どれも凄みがあった。
読了日:9月1日 著者:
Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)感想
希望がない世界でも、生きていくんだな。終わりが始まったとしても、終わりの物語が始まるということなのかな。結構体力を奪われました。
読了日:9月10日 著者:八杉将司
Type:STEELY タイプ・スティーリィ (上) (幻狼ファンタジアノベルス)Type:STEELY タイプ・スティーリィ (上) (幻狼ファンタジアノベルス)
読了日:9月15日 著者:片理 誠
心のナイフ 上 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)心のナイフ 上 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)感想
つ、つかれた。。。
読了日:9月15日 著者:パトリック・ネス
たんぽぽのお酒 (ベスト版文学のおくりもの)たんぽぽのお酒 (ベスト版文学のおくりもの)感想
夏が終わる季節に。「永遠に生きよ!」と子供時代にカーニバルの魔術師に言われたブラッドベリの価値観がここにある。生と死を真正面から受け止めるみずみずしい感性は、大人になった今こそ心に沁みる。
読了日:9月15日 著者:レイ ブラッドベリ
Type:STEELY (下) (幻狼ファンタジアノベルス)Type:STEELY (下) (幻狼ファンタジアノベルス)感想
すごく面白かった! ディストピア疲れでぐったりしそうだったけど、ホントにあのラストには救われた。読後感が良かった。
読了日:9月16日 著者:片理 誠
心のナイフ 下 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)心のナイフ 下 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)感想
つ。つかれた。。。マンチーがあんなことに!!! 結局救いがない気がする。というか、ええ、そこで終わりなのかい!?というところで終わった。続編が気になるけど、すごく体力気力が要ると思った。
読了日:9月16日 著者:パトリック・ネス
ついてくるもの (講談社ノベルス)ついてくるもの (講談社ノベルス)感想
三津田さんは長篇が私は好きなのだけど、この『ついてくるもの』は過去のい短篇集の中ではダントツだと思った。とくに表題作、怖い。素晴らしい!
読了日:9月20日 著者:三津田 信三
さよなら僕の夏さよなら僕の夏感想
『たんぽぽのお酒』の世界観を踏襲しながら、子供から大人へなっていくほんの僅かな瞬間を捉えた傑作。やはり生と死は、ブラッドベリにとって永遠のテーマだったのかなと思う。さよなら、ありがとう、ブラッドベリ。
読了日:9月25日 著者:レイ・ブラッドベリ
10月はたそがれの国 (創元SF文庫)10月はたそがれの国 (創元SF文庫)感想
10月の季語とまで言われている(かどうかは不明)。わたしがもっている版はムニャイニによる美しい装画が素敵な古い創元文庫。今年、ブラッドベリ逝去を思い、読み返した。「骨」は何度読んでも怖い。淡々と密やかに語りかけるような文体は、去りゆく秋にしっくりとマッチする。
読了日:10月20日 著者:レイ・ブラッドベリ
リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
おもしろかった! 挿絵がこれまたいい味を出している。ダーウィニストと機械文明のそれぞれの世界で描かれる少年と少女が徐々に邂逅してゆく描写がステキだ。映像で見てみたい。
読了日:10月30日 著者:スコット・ウエスターフェルド
ブラッドベリ、自作を語るブラッドベリ、自作を語る感想
ブラッドベリが大好きだ。若いころのインタビューと比べて読むと、彼自身深みを増していることがわかる。言いたいことをズバッといってのける小気味よさも痛快。改めて、合掌。
読了日:11月1日 著者:レイ・ブラッドベリ,サム・ウェラー
カラマーゾフの妹カラマーゾフの妹感想
いやもう、びっくりした。ものすごーーーく面白かった。『兄弟』が未読だったけど、十分面白かった。けれど、細部がやはり気になったので『兄弟』を読んで再び読了。もっと楽しめた。「カラマーゾフ的」を高野流に消化するとこういう形になるのか。登場人物のネーミングも素晴らしかった。
読了日:11月15日 著者:高野 史緒
ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
うーん。ちょっと風呂敷広げすぎな気がする。しかし厚いね~。
読了日:11月19日 著者:コニー・ウィリス
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)感想
『カラマーゾフの妹』が面白かったので、こっちに着手。序文で爆笑したのは『妹』効果。
読了日:11月25日 著者:ドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)感想
イワンの『大審問官』とゾシマ長老。ここは気合で読み切る。例えるなら『ドグラ・マグラ』のアホダラ教に当たる部分だと思った。神を信じるもの、神を信じない者の2方向からの視点。スカラカチャカポコ。
読了日:11月26日 著者:ドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)感想
満を持してミーチャ登場。時系列で事を起こしていくミーチャ。ああーバカだなぁと内心ツッコミを入れつつも、ミーチャにハラハラしっぱなしだ!!
読了日:11月27日 著者:ドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)感想
子どもたちの話に、イワンが話したあのエピソードが。そういうデジャヴのような展開が不思議な印象。裁判はああっ、なんとなんと、とおもうどんでん返しが続く。厚いのに手放せなかった。
読了日:11月29日 著者:ドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)感想
エピローグはあっけないけれど、そうか~と思った。解説では地図がすごくためになりました。あー面白かった。「第二の物語」が描かれなかったことは残念。
読了日:11月29日 著者:ドストエフスキー
日本アパッチ族 (ハルキ文庫)日本アパッチ族 (ハルキ文庫)感想
ラスト数ページにて、さらりと書かれていることが結構ヘビーでぎょっとした。迫害と蜂起を経て、淘汰と粛清の後、文化を生み出すほどに成熟するまで100年がかかる、と。うーむ。すごい物語だ。
読了日:12月18日 著者:小松 左京
クラゲの海に浮かぶ舟 (徳間デュアル文庫)クラゲの海に浮かぶ舟 (徳間デュアル文庫)感想
北野さんがTwitterで、高橋幸宏の「Xmas day in the next life」がネクストライフ社の元ネタ、と書いておられたので再読。ムーンライダーズやヴァージンVS、シュガーベイブらの歌詞やタイトルをもじった言葉遊びが光る。自己の記憶をたどらざるを得なくなる主人公が、その先に見つけるものは虚だったりする。「来世」を北野流に調理すると、こんな切ない物語になる。
読了日:12月26日 著者:北野 勇作
屍者の帝国屍者の帝国感想
この設定は、ファンタジーにもドタバタ系にもバカSFにも転じる可能性があったと思うのに、それを抑えこんだ語り口は見事だった。そう、見事なんだけど、新キャラが出るたび、いちいち笑ってしまった。エンターテインメントです。
読了日:12月30日 著者:伊藤 計劃,円城 塔

2012年に読んだ本まとめ
読書メーター

2010年11月26日

時の地図(El mapa del tiempo)

時の地図
フェリクス J.パルマ 宮崎 真紀
4150412278

時の地図 下 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-2)

もうもうH.G.ウエルズリスペクト! 作者はウエルズが大好きでしょうがないんだろうなぁと思った。上下巻で3部構成、特に1部と2部は恋と冒険に、3部はサスペンスに満ちている。そして作者に翻弄されながらタイムパラドックスを堪能できた。一緒に読むなら「タイム・マシン」と 「フロム・ヘル」だなぁ。

第1部と2部で展開されるインチキ臭い企みに内心うーんと思いながら、まぁそれはそれでいいよね~と思わせておいて、第3部では脅威のどんでんがえしが待っている。読み手の予想を裏切り期待に応えるというか。 ただ、第3部が駆け足なので、エピソードの読み落としが仇になり、理解できない箇所があり難渋した。(読み直して解決しましたが)。

ところでウエルズ周りのこの感じ、何に似てるんだろうと思ったが、はたと気がついた。ヴォネガット「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」で、エリオット・ローズウォーターがSF作家を激励した演説だと思い至った。

2010年11月23日

異星人の郷 (Eifelheim)

異星人の郷
マイクル・フリン 嶋田 洋一
4488699014

異星人の郷 下 (創元SF文庫)

上下巻あるので、読み応え十分。中世ヨーロッパに不時着した異星人との交流の物語である。何と言っても、丁寧に描かれた14世紀のドイツの描写がすばらしい。また、折々に差し挟まれる現代パートが良い具合に物語を引き締めてくれる。発端は現代パート。「アイフェルハイム」というドイツの小さな村が、ある時代を境に突如うち捨てられてしまったのは何が原因だったのか……。この謎を探るところから、物語が始まる。

キリスト教が生活の規範となっている14世紀ヨーロッパの常識と、クレンク人の価値観。21世紀の現代人にとって、どちらも異邦人のように感じた。専門用語が飛び交う現代パートが難解であったが、ラストが実に人間味に溢れていてよかった。そして、14世紀パートを大きく支える主人公・デイートリヒの心の動きは、読み手にとっても大きな慰めになっていたと思う。 中世ヨーロッパとは、想像以上に理性的な時代であったことにも驚いた。

それにしてもペスト怖いよぅ。

2010年11月19日

どろんころんど(The Curious Journey of Man-nen1)

どろんころんど (ボクラノSFシリーズ)
北野勇作 鈴木志保
4834025772

どこか切なくて、まっすぐなキャラクターたちに心をぎゅっと掴まれる。アリスが回想するゴトーさんの登場シーンはちょっと涙が出た。YAとは思えない容赦のなさに拍手を送りたい。

それにしてもあの英語のタイトルは、だからそうなのか、とわたしは推論した。

2010年11月17日

女ぎらい ニッポンのミソジニー

女ぎらい――ニッポンのミソジニー
上野 千鶴子
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わたしは女である。「女の子なんだから」と、物心ついた頃からそのジェンダーを背負いつつ、今まで、そしてこの先も毎日を過ごしている。女性蔑視の激しい業種ではないし、そんなに気になることはないと、わたしはずっと主張してきた。しかしながら、実は見て見ぬふりをしてきたのではなかろうか……。

深いところで気がついていながら、折り合いをつけて巧くやり過ごしてきた自分自身に改めて気がつかされた。目から鱗の一冊であった。「わたしは他の女とは違う」という鎧のなんと滑稽なことか!

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イラストレーターYOUCHAN(ユーチャン)による、読書記録ブログです。読み終わったばかりの本からかつて読んだ本にいたるまで。「偏った趣味、深くない造詣、だけど楽しい」がコンセプトです。おやすみの日などに、少しずつ書いています。
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