好もしい

気がついてみたらクロッキー帖がもう1ページもなかったので、
ちょっと気晴らしに隣町の青葉台まで夜、ぷらっと行ってきました。
いつものmarumanのクロッキー帖を2冊と(1冊は予備)、
短くなった鉛筆用のホルダーと、水性ゲルインクのボールペンと、
あとイラストエッセイに欠かせないPINの0.3mmも一緒に購入して
せっかくなので上の階の書店へ行きました。

本屋さんに行くと、いろんな発見があって楽しいです。
そんな中で、間違った日本語を指摘する類の本が目に留まりました。
「〜でよろしかったでしょうか」に代表される、変な日本語。

確かに変だとは思う。

思うのだけど、接客用語として定着してるのは事実なんだよなぁ。
こういうのをいちいち指摘してなにが面白いのかなぁ、と
ぼんやり思いながら、いろんな本を見て回りました。

今、すごく勢いがあるのは、女流作家さんと、手芸本だな。
女流作家さんに、キレイな日本語を落ち着いたタッチ(ココが重要!)
で文章にする人が増えてる気がする。
そして、手芸本には驚かされます。
その装丁、その構成、そのデザイン、その風合い、そのコンセプトに。

むふふ、なんだかいいなぁ〜。よい傾向です。

梨木さんの「りかさん」と「からくりからくさ」が文庫で見つかったので
これを手にとって、他の本もいろいろ見て回ると、
竹久夢二の「春」という文庫に目が留まりました。

「春」というタイトルを付けた理由として、夢二はこう記しています。

「春」という字は音が朗らかで字画が好もしいため、本の名にしたわけです

この「好もしい」という言い回し。
今ではほとんど目にしなくなりましたが、
なんとも優しい響きがあると思いませんか。

言葉はつねに変化して行くものです。
その変化にいちいち目くじらを立てるよりも、
美しいと思うものに目をむけ、それをはぐくむ感性を
大事にしてゆくほうが、よほど健やかだと思います。

そのほうが、ずっと好もしいと感じます。

童話集 春
竹久 夢二
4094042121