本陣殺人事件

本陣殺人事件

先日、古書で購入した「鬼火」に脳天を直撃されたわたしは、
早速他の作品もトライすることにして、
金田一登場第一作目となる「本陣殺人事件」を読むことにしました。
ちょうど、カレンダー展とか打ち合わせとかで外出することが多かったので
行き帰りの電車の中で読んでいたのですが。
…いや〜〜〜〜、面白い! すごいよ横溝のおじーちゃん!

こんなに集中して読める本に出会ったのは久しぶりです。
電車の中で映画を見終わるような感覚です。

「本陣殺人事件」は、第一作ということもあってか、
個人的にはちょっと風呂敷広げすぎてるかな…という感じでしたが
その他の短編2つ「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」もあわせると
非常に充実した読後感でした。

実を言うと、ミステリーの類があまり好きではなかったので
横溝正史はこれまで避けてきたのですが、
それはまさに食わず嫌いでした。

モチロン、そのトリックにもぐいぐい引き込まれていくのですが
人間味が溢れているといいましょうか、表現がとても豊かなところが
やはり他のミステリー作家とは一線を画している気がいたします。
SF界におけるヴォネガットのような?
いや、そんなにミステリーを読み込んでいないわたしに
そこまで言い切る資格はありませんね…。

現在は「獄門島」です。あっ!といいところで
電車が到着してしまいました…。続きは明日の搬出日にとっておきます。

ところで余談ですが、この新しい角川文庫のシリーズのカバー、
素敵だと思いませんか?
わたしはとても気に入っています。

旧文庫の、あの杉本一文さんの素晴らしいイラストがあまりにも鮮烈でした。
その上で、新しいシリーズを作るなら、このカリグラフィのデザインは
実に正当だと思います。
中の扉デザインもすばらしいです。一度、書店で手にとって見てみてください。