夢野久作像(巻頭歌)
オリジナルイラストです。
「胎児よ 胎児よ なぜ踊る 母親の心がわかって 恐ろしいのか」
…これは、「ドグラ・マグラ」の冒頭を飾った歌です。
イラストの背景は、胎児の踊る羊水をイメージしました。
夢野久作ご本人は顔が長くて、頭の大きな人でした。
たいへんお洒落な人だったそうで、確かに、どの写真を見ても、
久作はモダンボーイそのものの格好をしてポーズを決めています。
また、ヘビースモーカーとしても知られており、
長ギセルをくわえている写真が有名です。
久作は夫婦仲もよく、子供ともよく遊んだ、よき夫・よき父であり、
小説に見られるような陰惨さとはかけ離れた、微笑ましいエピソードがたくさん残っています。
ただ、残された写真の久作は、寂しげな眼をしているものが多いような気がます。
気のせいかもしれませんが……。
余談ですが、この久作像が出来た後、久作のお孫さんにあたるSさんに
メール添付でイラストをお見せすると、大変気に入っていただきました。
そこで、ご自宅で飾っていただくのにちょうどよい大きさに額装して、
お送りさせていただきました。
後日、Sさんのご自宅にお邪魔させていただく機会を得ましたところ、
Sさんが代々尊敬してやまないガンジー翁の肖像とともに、
わたしの描いた久作像が飾られてあり、とてもありがたく思いました。
思い入れのある一枚だっただけに、とても嬉しく、光栄な出来事でした。
(展示解説より転載)
展示風景です。ラフスケッチも一緒に展示しました。
これが一緒に展示したラフスケッチです。
「なんちゃってカバー」です。
表題の「夢野久作 〜迷宮の住人〜 / 鶴見俊輔・著」は、
今は無きリブロポート刊の本のタイトルです。