きよしこ
今年は「文学山房」の連載のおかげで
いままでノータッチだった作家さんの作品に
とても沢山触れることができた年でした、
ってまだあと4ヶ月残ってますが。
そんな中で、重松清さんは、梨木香歩さんに並んで
ひときわ心に残る作品を書く方だと思いました。
先日の「流星ワゴン」では泣いて泣いて仕方がない状態で
それでも繰り返し繰り返し読んだわけですが、
「きよしこ」もやはりすごく困った状態になりました。
これを読み終わったあと、心が一杯になってしまって
しばらく仕事ができなくなったからね。
TVやニュースで、事件がおきると「正しいこと」を
さもわかった風にコメントするキャスターや記者たちの放つ言葉に、
わたしは密かに傷ついたりすることもあるけれど、
そんな折に重松さんの本に出合えたことは幸せだったと思います。
ただ、文庫本に収録されている、巻末の第三者による解説は
いらないと思いました。
(実際、解説を書かれてる方も困っておられるように見受けられました)
だって、言いたいことは、文中ですべて書いてある。
重松さんの文章は、切なさを伴った骨太のロックに似ているような気がします。
先入観はいらねぇ。いいわけもいらねぇ。
きよしこ
重松 清