神保町おさんぽ日記
仕事の目処がついたのもあり、ようやく土日にゆっくり過ごせるようになりました。
そこで!行きたくて行きたくて仕方のなかった神保町に、土曜日に行って来ました。
ただ行っただけでは疲れるので、今回は事前に調査していきました。
ひとつはミステリーの専門店、ひとつは時代小説の専門店。
BOOK TOWNじんぼうで検索して、富士鷹屋と海坂書房をまず押さえることにしました。
富士鷹屋は、探偵小説専門店と銘打たれていまして、とくに
鮎川哲也や都築道夫に力を入れているということでしたが、
お店に入ってすぐに飛び込んできたのが、江戸川&横溝ラインの充実振りでした。
や、やばい!今回はクロフツ目当てで来たはずなのに…とおもいつつ、
ぐぐっと押さえて横溝正史を4冊だけ(だけ?)手に取っているわたくしでした。
購入したのは「悪魔の寵児」「びっくり箱殺人事件」「夜光虫」「不死蝶」。
昔の角川文庫は、主に中島河太郎さんの解説が載っているのでいいんですよねー。
表紙は今の新装版の方が個人的には好みですが…解説も復活してほしいなぁ~。
そういえば、人形佐七も一通り文庫でそろってました。
初めて文庫の実物を見ました。
乱歩は、いろいろな出版社の文庫全集がありました。人気のある作家ですね。
そういえば、久作の角川版も何冊か発見! あの米倉斉加年挿画です。
(購入は控えました。何冊も久作を持っていてもね~…)
お目当てのクロフツはモチロン、A.クリスティーやD.カーといった
一流どころは無駄なくいい感じで揃っていました。
ちなみに、このお店は「在庫が膨大」というよりも
センスのいい品揃え、といった印象です。
ああ、マイケルのように棚の端から端まで買ってしまいたい……と、
セレクトしたのは下図の3冊です。
「アクロイド殺し」というタイトルでも出版されていますが、
あまりにもその名を小説の中で目にするので、購入してみました。
クロフツはまだ「クロイドン」と「樽」の2冊しか読んでいないので、
お試し期間だと思って、2冊に絞りました。
そして、なんと!このお店で、わたしはオヨヨ大統領にも出会ってしまったのでした!
ほらっ!!
ああー嬉しい。まさかここで大統領に出会えるとは!
ほくほくしながらレジにいくと、近くには百間先生の本がたくさん!
「あら!? 百間先生が…」
そんなわたしに、店主の女性は
「ええ、ウチは結構百間先生揃ってるんですよ~」
…あれ?ここって探偵小説専門店では??(笑)
富士鷹屋を辞して、次に向かったのは海坂書房。
お目当ては、杉本苑子さんの本!
ありましたよ~~~。うひー。
杉本さんの小説は、美味しい水のようです。
するすると無理なく身体に入ってくる。
なのに、その滋味を表現する言葉が見つかりません。
ときに悲しく、ときに理不尽で、ときにほのあたたかな世界。
もっと普通の書店でも沢山扱って欲しいです。
随筆もみつけました。状態もよく、デザインも品のよいハードカバー。
20年も前の本と知って驚きました。
お会計を済ませようとレジに行くと、富士鷹屋と同じ、紺色の包装紙でした。
神保町では一括して包装紙を仕入れているのかな~と思いました。
本買いすぎたかな…ちょっと重いな…これからはカート必須だなぁと思いつつ、
神田古書センターへ。ここは、いろんな書店が入っている雑居ビルのような場所です。
その中の中野書店は、昔「久生十蘭全集」を購入したことがあるのですが、探偵小説が充実しています。
ショウケースには、初版・函つきの久作「ドグラ・マグラ」や
虫太郎「オフィリヤ殺し」などが鎮座ましましています。
「ドグラ・マグラ」は8万円だったっけ? 高いです!
復刻版を持っていますが、それと確かに同じです。が、
どこが違うのか見たい見たい! と
舐めるようにショウウインドウを眺めて過ごしました。
そういえば、小栗虫太郎の本が沢山ありました。
人気作家だったのでしょうね。
そんな感じでくたくたになったので、神保町散策は2時間でお開き。
その足でWebladyの家を襲撃し、ジュースとお菓子で疲れを癒したのでありました。
それにしても、どの書店に行っても漱石全集は必ず山積みになっています。
また、探偵小説作家の中では、乱歩は別格だと思いました。
どこにいっても乱歩は置いてあります。
乱歩と漱石。二大巨頭といったところでしょうか。
昨日の戦利品。
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昨日読んだ本です。
Kさんにずっと前に借りていて、そのままになっていました(ごめんなさい~)。
ジュブナイル「ドグラ・マグラ」という感じ? んー、違うかな。
黒い四角形での伏字 「…■■■」みたいな感じです。これ、怖いです。
内容は、虚構は虚構でしかない現実を、リアルに描いてると思いました。
いい内容なだけに、あとがきが蛇足っぽく感じて、そこが残念でした。
表紙のイメージもよいです。
落とし穴―鎌倉釈迦堂の僧たち
杉本 苑子
金曜日に読んだ本。
僧たちが鎌倉の釈迦堂を拠点に行っていた貧者救済活動を
描いたオムニバス作品です。実話が元になっています。
理想と現実の狭間、という点では、もしかしたら
先の「ピーターパン・エンドロール」に近いかもしれません。
慈善事業に対する矛盾について、疑問を投げかける形で終わっていますが
あとがきで、その慈善事業が崩壊してしまったとあり、
なんともいえない気持ちが残ります。