[個展準備] 気づけないはずの出来事を

今日は「音楽山房」。ということで、コンサートで大泣きしてしまった吉田美奈子「KEY」より「Graces」をピックアップした。

曲もすばらしいが、歌詞がこれまた抜きん出ている。今日よりも明日を愛そう、そう歌う。ただの励ましではなく、傷ついている心、時々の悲しみに嘆くとき......四季は繰り返しやってくるけど、永遠の愛なんてあるのかな......生きる喜びも悲しみも苦しみもすべてを包括し、季節が巡る不思議と絡める歌。現実を直視し、それでも人生はすばらしいと謳歌する。

KEYコンサートツアーのときだから、もう10年以上経つが、彼女の歌声はわたしの心をわしづかみにして、そして言葉どおり、わたしを泣かせた。周囲のひとも何人か泣いていた。歌詞の力、曲の美しさに加え、彼女の歌声だ。声の力だ。

今なおこの曲をCDで聴くたび、わたしは涙腺が熱くなるし、あのときの気持ちを思い出す。深い深い慈愛に満ちた感動だった。そんな音楽を贈ってくれた彼女への、わたしなりの感謝の気持ちを込めて、絵に託してみた。

「気づけないはずの出来事を 素敵だと思える街のGrace」

そのGraceこそが、あの日の渋谷公会堂での歌声だったと、今もそう思っている。