定本 久生十蘭全集
到着しました、久生十蘭全集。ずっしり重いです。解題含めると、700ページ近くある。その上、月報付で、函に入っていて、ハトロン紙でくるまれている。いまどき、こんな風に丁寧につくられた本にはお目にかかったことがない。値段が値段なので、このくらいの作りは当然なのかもしれないけど、それでもやはり本に対する愛着が一味違う気がする。国書刊行会の本は何冊も持っているけれど、ダントツで上等な1冊。しかも、3ヶ月に1冊ずつ増える。全11巻。3年以上の年月をかけて、じっくりじっくり刊行される。
中身は、なんといっても文字組みの美しさにため息が出る。旧仮名遣いの本なのだが、あまり読みづらいと感じない。すらすら読める感じだ。解題の巻末には「魔都」の説明図が収録されているので、本文を読みながら、参照すると雰囲気がぐっと出そうな感じがする。おそらく原典から転載したものだと思う。いい感じだ。
とにかく、贅沢の一言につきる本だ。「ノンシヤラン道中記」からじっくり読み込んでみたいと思う。刊行おめでとうございます。
定本久生十蘭全集 1
久生 十蘭