来たっ。
一足先に見本が届く。自立するよ。クララが立った!
どんな仕事も引き受けた以上は等しく真剣に取り組むというのが信条なのだけど、それでもやはりこの本はわたしにとって大きな意義を持つ。ひとつには、初めて文芸の装丁に関われたこと、もうひとつには、筆者の巽孝之氏のご指名で受けた仕事だったこと。ずっと関わってみたかった文芸書で、しかも装丁で、それだけでも小躍りするような依頼だったのに、今回は筆者・編集者との間でのやりとりが頻繁だったのも大きかった。やりとりしたメールの数は短期間であったにも関わらず、相当数に上ったし、そんな中で生まれた装丁なので、仕事のやり方からして「イラストレーター冥利に尽きる」の一言だった。妥協のない仕上がりだと思う。
巽先生といえば、年末に刊行されたばかりのギブスン「スプーク・カントリー」の解説を書かれていて、ギブスンの話題にも事欠かなかった。また、研究社の金子さんは、翻訳家の故・飛田茂雄さんと親交が深く、今復刊されているヴォネガットの「ヴォネガット、大いに語る」と「パームサンデー」 の文庫版校正を手がけた方でもある。わたしといえば、根っからのヴォネガット馬鹿。復刊ドットコムで「パームサンデー」の復刊希望をだしたのはワタシだったなぁ。やっと出たなぁと思っていたら、とても身近な人が校正を手がけていたというオドロキ。今回、カバーの件でやりとりをしながら、脱線でヴォネガットやギブスンの話題がよく出たし、「ちなみに」と続く巽先生のメールからは、必ずへぇ~と感心するようなトリヴィアがあふれていた。「想い出のブックカフェ」と「スプーク・カントリー」、「パームサンデー」の3冊は、わたしの勝手な妄想の中では三つ子のような存在だ。これまで、てんでばらばらだったのに、共通する事柄が不思議な縁でゆるやかに絡んでいるような印象。
といった感じで。全く持って余談でした。本の内容については、また後日改めて書評ブログの方で。ただ言えることは「この本を読むと積ん読候補が増えます」っていうこと。
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イラスト・題字レタリングを担当しました。
若島さんの本と変わらないくらい厚いです。でも持ってみると案外軽いです。