大事な仕事

KVの挿絵。


仕事に優劣はつけない。つねに誠実に描く。これをモットーにしていることは今も昔もずっとかわらない。けれど、ことヴォネガットに関しては別。カート・ヴォネガットが自分にとってどれだけ重要かはもう今更言うまでもない。つらいとき、救ってくれる。楽しいとき、共感する。日々のささやかなできごとにほろりときてしまう。遠いアメリカの地で生まれ育った異国の作家だけれど、わたしにとっては最高峰に位置する。

日本では早川書房からずーっとずーっと和田誠さんのこれまたすばらしい装丁でほぼすべての作品が出版されている。翻訳は伊藤典夫・浅倉久志の両氏。特に中期以降の翻訳は浅倉久志訳でほぼ網羅されており、ほろにがい本編を読み終えた後はいつだって浅倉久志氏の「訳者あとがき」が心優しいカーテンコールを引き受けてくれていた。

と言った具合に、本当に大好きな作家なのだけれど、本日発売のSFマガジン50周年記念号PART1に収録されたヴォネガットの短編「明日も明日もその明日も」の扉イラストを不肖ワタクシに描かせていただいた。和田誠さんには足下も及ばない。が、雑誌収録ということで大目に見ていただいたのだと思う。本当に光栄で光栄で、どうしようという気持ちでいっぱい。

気持ちだけはいっぱい込めた。初めて読むかも知れない方のネタバレになるような扉にはしなかったつもり。イメージも大きく壊さないようにしたと思う。そして好きなモチーフを盛り込ませていただいた。ヴォネガットファンの皆様、和田誠ファンの皆様、どうかどうかご容赦ください(わたしも和田さんの大ファンなんです)。

SFマガジン、50周年おめでとうございます。


S-Fマガジン 2010年 01月号 [雑誌]
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