これはジャックが建てた家
最近、読書Blog「書かでもの記」は、読書メーターにひとまずためておいて、それから月末にまとめて書く形にしている。読んでスグより、しばらく時間をおいてからの方が思いつくこともあるので結構これはいいと思っている。読んで程なくして記憶の彼方に行ってしまう本もあるので、一概にいいとは言い切れないけど。ということもあって、まだ「書かでもの記」には反映されていないが、この手の話しを書くタイミングも無い気がするのでコチラに。アラン・ムーアの「フロム・ヘル」である。
プロローグのラストに「ここがジャックの建てた家だ」というコマがあるが、わたしはものすごくビックリしたのだ。原典は有名なマザーグース「This is the house that Jack built」から取ったモノだと思われるが、アーサー・ラッカムが描いたイラストの家に似てないか!?
アーサー・ラッカムの本が見つからないので、これについてはまた後日必ずや見つけ出して再検討したいと思うが、読まれた人は、ここで唐突に「ここがジャックの建てた家だ」とアバーラインが呟くのが不自然だと思われなかっただろうか。補遺にもこれについての説明はなかった。
おそらくこういうことではないかと思う。「This is the house that Jack built」は、「これはジャックが建てた家 で干した麦 をたべたねずみ を殺したねこ をいじめた犬 をねじれ角で突いた牛 の乳を搾った孤独な娘 にキスしたぼろを着た男 ......」と言った具合に、一つの事象が次々に連鎖して積み上がっていくもの。
この展開、補遺にあったコミックを思い起こさせないだろうか。また、黒田硫黄氏が下巻の帯に寄せたコメントがそのものずばりという気もする。アラン・ムーアはこのマザーグースと切り裂きジャックの共通項を見いだして、エディ・キャンベルはそのモチーフを19~20世紀の代表的な英国挿し絵画家アーサー・ラッカムから引用したのではないだろうか。
このコミック、この手のしかけがあちこちにあるのではと思った。とにかくラッカム版マザー・グースを見つけなくては。それが先決だ。