今日から大阪の個展

搬入の準備中
写真は搬入準備中のワタシ

アラビクさんで今日10月7日から19日まで個展を開催する。これまでの「文学山房」からアラビク店主の森内さんにお店の雰囲気に合いそうなモノをチョイスしていただいたので、アラビクセレクションと呼んでいる。今回の会場の雰囲気に合わせて、額装も可愛いサイズのモノを中心にして、また図録も完全手作りのものにして、アラビクに合うように、といろいろ考えて荷物を送り出した。設営はアラビクさんにお願いしている。16日に現地入りするのを今からわたしも楽しみにしている。

ところで、森内さんがサイトでわたしとの出会いについて書いてくださっているので、そのお返事というか、わたしの側の話を書こうと思う。

アラビクさんのことを知ったのは、まだ去年のこと。mixiが迷走する前で、あしあとを見てもそんなに警戒することはなかった頃で、定期的にわたしのページを見に来る人の存在に気がついた。共通のマイミクはいない様子だけど、どうも趣味が合いそうな人だなと思った。年配の方だろうか。気難しい人なのだろうか。ともあれ、ブックカフェをやっているようだ、というところまではわかったが、大阪だし、行くことはないかなぁくらいに思っていた。

そんなこんなでいるうちに、スパークスの来日公演が判明した。東京2daysと大阪の合計3公演、演目を変えるという話で、東京は勿論、大阪も絶対行くぜ、と息巻いた。初の地方遠征である。ところが、東京公演2日目のとき、母の乳がんが発覚した。浮かれまくっていたわたしはどーんと落ち込んだ。大阪公演もキャンセルしようかと思ったが、宿もチケットももう取ってある。スパークスが励ましてくれてるんだから行ってくるべきだよと励ましてくれた友人もいた。そうだね、行ってくる。

そこでわたしは、帰りを変更することにした。大阪公演を見た後、1泊したら即横浜へ戻る予定だったが、名古屋で下車して母の元へ行くことにしたのだ。手術まではまだ日があるが、まずなにより母の顔を見たいと思った。深夜バスを使えば遅くまで母の元にいられるのもいいと思った。その名古屋へ行く新幹線に乗る直前に、わたしはアラビクさんに寄ったのだ。

前日のライブの興奮と、母のことを思う不安がぐるぐると胃にのしかかるような気持ちで当日の朝を迎えた。知人に教えてもらった神社によって、ご祈祷の申し込みとお守りを買って、地下鉄谷町線で中崎へ向かった。地上に出て地図の通りに歩を進めると、みたことのないような町並みに驚いた。くねくねと折れ曲がった路地の両脇にそってぎゅうぎゅうと立ち並ぶ古い建物。まるで「カリガリ博士」の舞台のような町並みだ。不思議な場所に来てしまったと思ったら、アラビクさんはもっと不思議な場所だった。

タイムマシンでどこかの時代にタイムスリップしたような店構え、わたしの家の本棚と微妙に合致する古い本たち。店主の森内さんは、年配の方でも気難しい方でもなかった。標準語を話す、若い男性だったのだ。なんともまぁ。ネットではわからないものだなぁ。なぜわたしを知ったのか尋ねると、キャラコさんを検索して偶然見つけた、とのお返事であったが、それがいつ頃のことで、どんなシチュエーションであったかは、あの『「YOUCHAN個展 文学山房」開催に寄せて』を拝読するまで思いもしなかった。

新幹線の時間も近づいたので、1時間くらいでお店を出た。その足で母の元へ向かったのだが、このあたりの思い出が渾然としている。翌朝、深夜バスで早朝の東京駅にひとり放り出されたわたしは、スーツケースをごろごろ引きながら大声でスパークスの「Suburban Homeboy」を歌いながら、半蔵門線大手町駅まで歩いた。

ちなみに母の乳がん手術はその後、滞りなく終わり、今は定期的な診察を受けている状態である。

今月16日に再び大阪に行くが、新幹線ではなく飛行機で向かう。心配事のない状態で、心から楽しみたいと思うし、「カリガリ博士」の町並みの写真をいっぱい撮ってこようと思う。19日まで、どうぞよろしくお願いします。

 

文学山房 おおさか秋の陣

期間:2010年10月7日(木)~19日(火)
水曜定休/13:30~21:00(日曜祝日は20:00まで)
会場:珈琲舎・書肆アラビク
大阪市北区中崎3-2-14
JR大阪方面からはMBSとLoftの間からJRの高架を潜り前進。左手に郵便局が現れたら、次の十字路を右折。
地下鉄谷町線2番出口からは徒歩3分程度。
Google Mapによる地図はコチラ
Tel:06-7500-5519