グラックの卵

グラックの卵 ハーヴェイ・ジェイコヴス他「グラックの卵」より。

今回は線画作品にもチャレンジした。そのうちのひとつが、A0サイズのタペストリーにしたアンソロジー集「グラックの卵」である。浅倉久志さん監修のユーモアSF短編集で、これがまたすこぶる面白い。そこで、収録されている短編を一大絵巻物よろしく、スラップスティックに表現してみたが、これは線画が良く似合う。左から「見よ、かの巨鳥を」右にいくに従い、収録順に作品が進み、一番右端はお色気たっぷりの「グラックの卵」で締める。

中でもわたしが気に入ったのは、ヘンリー・カットナーの「ギャラハー・プラス」。SFらしさがふんだんに盛り込まれ、登場してくる人物がユニークで楽しい。また、ジョン・スラデックの「マスタースンと社員たち」は、非現実的でいながらも、どこか現実的な印象。社会なんて、きっとそういうものだ。読後、ずっと尾を引いた。内田百間「旅順入城式」の非現実感に近いものを感じた。こういうのって、どうやって思いつくんだろう。不思議。